胡椒畑をあとにして、倉田さんに、共同で胡椒を生産しているパートナーの方の作業所へ案内をしていただいた。

畑で収穫された胡椒は、近くの作業所で一次選果を経て、乾燥の工程へ進んでいく。


乾燥前の胡椒は驚くほどカラフル。

そして、そこからさらに一粒ずつ選果される。
完熟胡椒というグレードは、こうした気の遠くなるような手仕事の上に成り立っている。
本当に凄すぎる、気が遠くなる作業だ。

完熟した胡椒は美しい。

完熟胡椒の乾燥棚は、遠目に見ても、ほのかに赤みを帯びているのがわかる。

近づいて香りを確かめると。
スイートポテトのような、ほっくりとした甘い香りがした。
これは想像していなかったファクターだった。

その後、プノンペンのKURATA PEPPER本店にて、厳格な管理のもとパッキングされていく。

製品化された完熟胡椒 (ライプペッパー)は30g で9ドル。
これは、日本で購入する価格と大きく変わらない。
1粒単位で品質を極めたものは、国が変わっても簡単には価値が崩れないのだと思う。
倉田さんの執念にも似た胡椒へのこだわりが、完熟胡椒1粒1粒に宿っている。
話は戻って、
作業場の案内をしてもらったあといよいよランチタイム。

近くのレストランへ着くと、車のダッシュボードにはさっき畑で収穫したばかりの青胡椒が置かれていた。
これは、そう、あれか!
倉田さんがそれをお店の人に渡して料理を注文している。
良い予感しかしない。

食べたかったクメール料理の青胡椒とイカの炒め。
ここで疑問が湧く。なぜ完熟胡椒ではなく青胡椒なのか?
理由は明快で、完熟胡椒まで実が育つと殻が形成されており口当たりが悪くなってしまうからだ。
一方で青胡椒は柔らかく、料理の素材と自然に馴染む。

うまい、美味すぎる。
クメール料理には甘味、酸味、旨味、塩味、苦味がひと皿の中で調和している。
そこへ青胡椒の爽やかな味わいが重なり、味わいに波紋のような広がりが生まれる。
そう、繊細で上品だ。
クメール料理やばすぎる!
ここで完全な閃きが訪れた。
胡椒の本場カンボジアで胡椒がどう調理されているのかもっと知りたい。
香辛料の王様、胡椒を深淵まで深掘りし、そこで得た知見を、完熟ペッパーナッツの新しいレシピとして活かしたい。
帰りの車中で、プノンペンのクメール料理レストランをAIでリストアップしたのは言うまでもない。
つづく

