完熟ペッパーナッツについて記す。
そのためにカンボジアへ行ってきた。
胡椒界のレジェンドに会うために。
大航海時代(15〜17世紀)、胡椒は「ブラックゴールド」と呼ばれた。
胡椒ひと握りが、黄金ひと握りに匹敵するとさえ言われた時代だ。
カンボジアは、古くから胡椒の産地として知られている。
フランス統治時代には、世界中へ輸出されていたという。
プノンペンから車で約2時間30分。
カルダモン山脈を横切る。
景色が変わる、熱帯雨林だ。
その奥に、クラタペッパーの農園がある。
コッコン州スラエアンバル、塩田という意味の土地だ。
1997年から、この地で自社農園を興し、約30年間にわたり胡椒を作り続けている日本人がいる。
KURATA PEPPER代表、倉田浩伸さんだ。

現在Groovy Nutsでは〈完熟ペッパーナッツ〉に、
倉田さんが生産した完全無農薬の胡椒のみを使用している。
「曇りなき眼で見定め、決める」
その覚悟をもって、赤く熟した胡椒に会いに来た。
道すがらコカ・コーラのガラス瓶にガソリンを入れている露店があった。
これが、あのコカ・コーラガソリンか。
沢木耕太郎の深夜特急がよぎって、気分が上がる。
何も無い道に車が停り倉田さんが、道路脇の小道に入っていく、その背中を追って農園に着いた。

完全に無農薬。
化学肥料も使わない。
完全オーガニックの胡椒農園だ。

畑に入る。
「これ、完熟しています。」
倉田さんが指差した胡椒は、赤かった。

胡椒の房を見る。
赤くなった実が完熟のサインだ。
通常、胡椒は一房に30-40個ほど実をつける。

そのままだと、粒は小さくなる。
倉田さんは、実を落としあえて量を減らし、大きく、そして完熟させる。

倉田さん「種のまわりの果肉部分を口の中で剥がして食べて下さい。フルーティさを感じます。」
最も大粒で赤い完熟した胡椒を一粒口へ運ぶ。

その鮮烈な味わいに一気に持ってイカれる。
ただ強く辛いだけではない。
果汁がある状態の完熟した胡椒には多重レイヤーを感じる。
鼻に抜ける香りにはフルーティーさもあり、上品な丸みがある。
ナッツも胡椒も、どちらも植物の実だ、果肉部分があり、その中に種がある。
自然な恵みは、同じ実であっても、驚くほど多彩な表情を持つ。
Groovy Nutsの完熟ペッパーナッツは、ただ胡椒が効いたナッツではない。
熟するまで待ち、量ではなく質を追求して大きく育てた完熟胡椒の力を、ナッツで受け止めた一品だ。
30年に渡り異国の地で、倉田さんの全てをかけ作りあげた胡椒だけを使い、最高のカシューナッツで焼き上げる。
究極の素材だけを使う、当然仕入れも驚くほど高額になる経営者としては失格かもしれない。
でも、使わずにはいられない。
倉田さん「完熟胡椒を原材料にして、商品にふんだんに使用しているのはGroovy Nutsさんだけです。」
つづく。

