カシューナッツ農園へ向かう朝、俺はプノンペンのホテルで、精神的に追い込まれていた。

車で片道4時間ほどかかるコサル農園の園主のコサルさんとは「11:00に伺います」と約束をしていたのだが、かなり直前で組んだスケジュールが影響して車の手配が怪しかった。
2日前、カンボジアに到着して空港からホテルまでの移動をGrabという配車アプリを初めて使った。
しかし、ドライバーとなかなか合流できず、30分ほどメッセージをやり取りしながら空港の駐車場の片隅で待った。

すると遠くから、ものすごい笑顔で手を振りながらこちらへ歩いてくる40代くらいの男性がいた。
なんとも人の良さそうなドライバーだった。
空港の駐車場には入らず(事情があったのかもしれない)、道路脇に車を停めて、小走りで俺を探しに来てくれた。
どこの国のメーカーかも分からないセダンに乗り込み、空港をあとにした。
彼の名前はサレンさん。
英語での会話は難しそうだったので、スマホの翻訳アプリを駆使して、クメール語と日本語でのタイマン勝負が始まる。
1時間ほどの道中で、「2日後に片道4時間かかるカシューナッツ農園へ行きたい」と伝えると、サレンさんはしばらく考えた末に「400ドル」と提示してきた。
そこから交渉し、最終的に250ドルでディール成立。
ホテルに着くと、「2日後、アルファードで迎えに来るよ」と言い残し、笑顔で帰っていった。
携帯番号は聞いていた。
ところが、前日に電話しても繋がらない。
当日の朝にかけても繋がらない。
とはいえ、もし別の車を手配してサレンさんも来たらダブルブッキングになる、新しく手配するのも違う気がした。
……でも、俺の勘は「この人は来る気がする」だった、すなわちこのまま進めだ。
でも「値切り過ぎたかな……」つい、ひとり言がこぼれる。
約束の時間になり、ホテルの部屋を出る。
ドアを閉める瞬間、快く訪問を受け入れてくれたカシューナッツ農園園主コサルさんの顔が頭によぎる。(会ったことなかったけど)
そしてロビーを抜けてホテルの外へ出ると──
いたのよ!サレンさんが。
あの時と同じ、最高の笑顔で。
しかも、アルファードで、ありがとう、サレンさん。
疑ってごめんなさい。
しかも車内は独立式のリクライニングシート。

というわけで、片道4時間カンボジアの大地を走るカシューナッツ農園へのロングドライブが始まった。
驚いたのは4時間ひたすら坂道ひとつない平地、高床式の家々。
高床式の家々の理由は
①洪水対策
②虫や動物の侵入を防ぐ
③風通し確保
④日陰スペース
住居はその土地の要素がダイレクトに表れる。
そんなことを考えながら車は走り続ける。
そしてコサル農園に到着するのであった。←このままブログ1本終わるのかーい!